自信と信頼の象徴
現在、京都友禅協同組合に所属の組合員が染める“きもの”には、次の2種類の証紙が用いられ、染色技法・素材・染めた場所等により貼付条件に適う商品に貼られています。いずれの証紙も製造者を示す連番が記載されており、各染工場が自信をもって送り出した京友禅商品です。
手づくりの証し「伝統証紙」

経済産業大臣の指定を受けた伝統的工芸品に貼られる証紙。伝統的技法によりつくられた製品にのみ貼られる証紙であり、手づくりの証といえます。
京都産の証し「京友禅証紙」

友禅染技法を用いて京都で染められた商品に貼られる証紙。他産地や外国で加工されたものには貼ることの出来ない、京都産友禅染の証しといえます。
伝統証紙(承認番号24-085)
伝統マークと伝統証紙
1.伝統マーク
2.伝統証紙
伝統的工芸品の表示のために、一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会が発行する伝統マークを使用した証紙を「伝産証紙」といいます。経済産業大臣が指定した産地の協同組合が、経済産業大臣の認定を受けた検査方法に従って検査を行い、合格した伝統工芸品にのみ貼られる証紙で、伝統を誇る手づくりの証しといえます。
証紙には、発行・管理する協同組合の名前が明記されており、また、小証紙を除き、全て連番による管理番号が入れられています。
京友禅・京小紋に貼られる伝統証紙は、京友禅協同組合連合会により発行・管理されています。
「伝統的工芸品」とは下記の全ての要件を満たし、経済産業大臣の指定を受けた工芸品です。
1.日常生活で使用される工芸品
日本人の暮らしに密着し、一般家庭で使用される工芸品です。美意識の表現を主とする芸術作品とは異なるものです。
2.製造工程の主な部分は手づくり
製品の持ち味に大きな影響を与える、形状・意匠・文様・風合いなどの加工が手仕事により行われます。
3.伝統的な技術・技法によって製造
主な技術・技法が100年以上前から今日まで継続して用いられています。
産業技術の近代化以前に確立され、手仕事として合理性を極限にまで高めた、貴重なノウハウにより製造されます。
4.伝統的に使用されてきた原材料
主な原材料が100年以上前から今日まで継続して用いられます。
合成素材によらず、地球にやさしい天然素材が用いられ、リメイク・リユース・リサイクルも容易です。
5.一定の地域で産地を形成
産業として成立し一定の産地で製造される工芸品です。
全国各地の歴史や風土など地域の個性を特徴づける、ふるさとの特産品としてとして親しまれています。
以上に加え、伝統的工芸品の産地では優れた完成度を備えているかなども含めた検査を行い、合格した製品のみに「伝統マーク」を使った証紙が一品ごとに貼られます。この意味で「伝統証紙」は本物の証です。
京友禅証紙
京友禅振興協議会 設立趣意書
江戸時代前期、宮崎友禅斎によって、爛熟した時代に時機を得た意匠と優れた染織技法とにより、一世を風靡した「京友禅」は、日本の風土と日本人の繊細な美意識に支えられ、時代毎の文化と技術を絶え間なく取り入れ今日に至っています。
取り分け、明治期、新たな需要と先進諸外国の新しい意匠や技術の導入によって、飛躍的な発展を遂げた「近代友禅染」は、世界に類を見ない我が日本の誇るべき文化であり、その中核たる「京友禅」は、日本は言うに及ばす世界に多大な影響を与えてきました。
しかしながら、戦後、爆発的な需要の拡大により、昭和46年には年間総生産量1,650万反まで達した京友禅も、ライフスタイルの変化により平成15年には84万反までに減少し、後継者問題等長年に亘り培われた技術の継承も困難な状況を向かえています。特に昨今、国際化、情報化の劇的な伸展によって、日本の文化・京都の技術を如何に守り継承すべきかの瀬戸際に立たされています。
経済の国際化は避けられないものとは言え、日本固有の文化の維持発展に心血を注ぎ可能な限りの努力を行うことも又、今の時代に生きる我々業界人の責務と言えましょう。
ここに、京友禅に関わる商工業界が一丸となって、京友禅の振興と発展を期するために「京友禅振興協議会」を創設し、京友禅の優秀性を広く一般に知らしめ、共に力を合わせ京友禅の振興に尽くさんとするものであります。日本文化ときものを愛する多くの皆様の絶大なるご支援ご協力を賜らんことを衷心より願うものです。