京友禅について

京友禅で使う道具
TOOLS


丸刷毛

主に、摺り(スリ)染やぼかし染に用いる刷毛です。柄の大きさや、カチン摺、摺り切り、摺ぼかし等の技法により様々な大きさの刷毛を使い分けます。 刷毛は、一度使うと染料が中まで染み込むため、色毎に刷毛を変える必要があります。染工場では非常に多くの刷毛が必要であり、その管理も重要なものとなります。 毛の材質は、主に鹿毛が用いられます。

引染用 刷毛

地染めの引染の工程で用いる刷毛で、染める箇所の大きさや形、技法などにより刷毛を使い分けます。写真の刷毛は、左から4寸、5寸、6寸の大きさで、毛の材質は主に鹿毛が用いられます。 丸刷毛と同じく、一度使うと染料が中まで染み込むため、色毎に刷毛を変える必要があり、非常に多くの刷毛が必要となります。

駒箆(コマベラ)

型紙の上に置いた染料を混ぜ込んだ色糊を、これらの[へら]で生地に均等に型置きします。 用途により、駒の形や大小等様々なものが用いられ、先端にゴムを取り付けたゴム箆(右の3個)もあります。(友禅の出来るまでの〔型置き〕参照)

とろ刷毛

友禅板に生地を張る(地張り作業)直前に、薄めた「トロ糊」を塗付することにより、予め板に塗布してある敷糊(シキノリ)の粘度を戻す作業に用いる刷毛で、液持ちの良いのが特長である。 使い古した丸刷毛を解いて脱色した毛を再利用して作ってあるので、毛が混じってミックス柄になっている。

型紙

型紙には、和紙に柿渋を塗った型地紙と合成紙のものがありますが、近年は、耐久性等の理由により合成紙の使用が増加してきました。 友禅型は一模様でも数枚から数十枚の型紙を必要とし、きもの一枚分で100枚を超えるものも少なくなく、総柄のきものでは数百枚の型紙を用いることもあります。

すき板(すき箆)

予め友禅板に生地を張り付けるときの接着材として「ねば糊」を塗布する敷糊作業に用いられる大型の箆(へら)

剣先挟み(ケンサキハサミ)

着尺などの地張りの時に用いるもので、友禅板の片面に生地を張り、剣先挟みで生地を固定した後、板を裏返してもう一方の面にも生地を張ります。

鍋 (ナベ)

色合せの時に、染料を予め溶解する時に用います。 以前は、銅や鉄、ホーロー引きの鍋が用いられていましたが、銅や鉄製のものは染料が化学反応を起して変色する場合もあることから、近年は、それらの欠点がなく耐久性に優れたステンレス製の片手鍋が用いられます。

紅鉢 (ベンバチ)

陶器製の鉢で大小いろいろな大きさがあります。 主に、摺込友禅用の溶解して調合された染料液を入れておく容器として使用され乳鉢とも呼ばれます。 現在は、ホーローやプラスチック製の容器が多用されています。

「糊桶」 と 「せっかい棒」

「糊桶」は、色合せした写し糊やとろ糊など、さまざまな糊を入れておく桶。「せっかい棒」は糊を攪拌するために用いる棒で、それぞれ用途にあわせて大小あります。 近頃は、耐久性に優れ、また密閉もできるプラスチック製のものが使われています。

地張木

樫などの硬い木で作られた拍子木状のもので、友禅板に生地を張る時に、生地のしわを伸ばすのに用います。

突き針

型染では、刷毛や箆(ヘラ)で型紙の上を擦るので、その際生地と型紙がずれないように、この針で友禅板に型紙を固定する。

小刀

型彫りに用いる小刀(彫刻刀)で、彫り口によって様々な形状のものを駆使して、型紙を彫ります。

コソゲ

友禅板の耳の部分に付着した糊の汚れをコソゲ落とす道具。下駄型と包丁型があります。 近年は、板に糊が付着しないように予め紙テープ等を貼る場合が多い。

馬(うま)

友禅板を置く台で、安定して作業できるように板を固定する役目を持つものです。 板の裏面の生地が触れないよう、半円形に抉られています。 また、板を返す作業が行いやすいように、真中の馬は前後のものより5センチ程度高くなっています。

色見本と配色カード

同じ柄でも配色を変えることにより全く違った雰囲気の“きもの”となり、染工場の腕の見せ所となる、きもの作りの重要な仕事です。 各染工場独自の色見本を繰りながら、図案の配色を決定し、配色カードに各部分の配色を記入し、これを基に職人さんが型置きを行います。

主に手描染で、生地に青花液で下絵を描く時や、色を挿す工程で用います。

平刷毛

主に手描染で、挿し友禅の工程で用いられる刷毛。模様の大きさや色の出し方により使い分けられます。

伸子(シンシ)

手描染や引染、地入れなどの作業を行う時に、生地を張り伸ばした状態に保つための道具です。 先端には針が付いており、生地の両端に刺して用います。

手描染の糸目糊置の工程で、先金を付けた筒に糸目糊を入れ、下絵の輪郭に沿って搾り出すようにして糸目糊を置きます。 また、右側の先金の巾が広いものは、柄の部分に伏糊(フセノリ)を行う工程で、防染糊を置くのに用います。


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